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【2025年9月27日】招待作品『山中静夫氏の尊厳死』

  • nantokaff
  • 34 分前
  • 読了時間: 3分

今回審査員としても参加していただいた津田寛治さんと中村梅雀さんW主演した『山中静夫氏の尊厳死』が招待作品として上映されました。

村橋明郎監督の本作は、医師でもある芥川賞作家・南木佳士の同名小説を映画化したもので、東京から地元信州の病院に転院してきた末期ガン患者と担当医師との心の交流を描いたヒューマン・ドラマです。

「どうせ死ぬなら、生まれ育った故郷の山々を見ながら死にたい」という山中静夫氏(中村梅雀)。彼には、故郷の山に自ら手で墓を作るという秘めた思いがあったが、それは家族の理解を越えていた。山中氏の思いを察した今井俊行医師(津田寛治)は、彼の望みを叶えるために懸命にサポートを続けるが、彼もまた多くの死を看取ってきた心労の蓄積から鬱を発症。休養を余儀なくされるのだった。

山中氏の妻を高畑淳子さんが演じ、山中医師の妻を田中美里さんが演じていて、この熟年夫婦と壮年夫婦との対比を通して、家族・人生・死といった人間が避けて通れないテーマを深堀していく。撮影監督の高間賢治さんが切り撮った信州の風景が素晴らしく、人間の尊厳死という重いテーマを爽やかに描いた見応えのある作品でした。


上映終了後に、津田寛治さんとのトークショーが開催され、大野ひろみさんがインタビューを担当されました。

津田「この作品は僕にとっても大事な作品で、こうして映画祭でまた上映されてとても嬉しいです。タイトルだけ見ると重いテーマの作品に見えるのですが、原作を読むとほぼ実話なんですよね。医師だった方が書いた小説で、助けられなかった多くの命を見続けた結果、実際鬱になって辞められているんですよね。現在は復帰してますが。こういうお医者さんの立場になってガン患者と接する作品がなかったので、演じてみたいなと思いました。もう10年程前に撮った作品なので、今見ると本当に若いなと。つまり若い医者のほうが梅雀さん演じる山中氏に見守られて成長していく青春ものだったんだなと気づいたんです。そして高畑さんと梅雀さんの演技が素晴らしくて、僕もこの域まで演技を高めなければいけないと感じましたね。鬱に関してはいろいろ調べました。どんな風に倒れるのかとか。これは原作者の方に誉められました。その分お医者さんであるべきトレーニングというのは一切しませんでした。梅雀さんの演技が素晴らしくて、僕は話を聞いているだけで医者のお芝居が出来ていました。クランクインの日に、梅雀さんの演技に引き込まれてころころと涙が出てしまったんですね。そしたら村橋監督から、この映画は涙NGなんでよろしくと、釘を刺されました。それけですね。他の出演者の方にも一切何も言わない監督でした。言葉にしなくても分かり合える。そんな感じが梅雀さんだけでなく、高畑さんや中西さんにもありました。監督に聞くこともなく、全員無駄話を一切しない熟した現場でしたね。」

ここで本作の撮影を担当した高間賢治さんとの思い出話で一盛り上がりしたのだが、そんな高間賢治さんの姿が観客席に。

高間「久々に観ましたが、随分忘れていました。昔から寛ちゃんとはつるんでいるんだけど(実は津田さんが監督・主演した自主映画の撮影も担当)、こうして主演作を撮れて嬉しかったです」

最後に津田さんから現在撮影中の『仏師~BUSSHI~』の予告編の本邦初上映があり、本映画祭へのエールの言葉をいただいて、トークショーが終了。フォトセッションでは津田さんと共に高間さんも参加。和やかなムードで上映会が終了しました。


ロビーでは、作品のプログラムを購入した方限定のサイン会が開かれ、多くの観客が詰めかけました。一人一人に丁寧に言葉を交わしながらサインをする須田さんの姿が印象的でした。

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© SAITAMAなんとか映画祭

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